ガレット・デ・ロワの中のフェーヴ

 



フランスではクリスマスケーキの時季が過ぎて、一斉にケーキ屋に並ぶのが、ガレット・デ・ロワ~"galette des rois"(王さまたちの菓子)~だ。
フランスの家庭では、1月いっぱい、このパイ(中身はアーモンドベースのクリーム)をカットして食べて、中に忍ばせた陶器製のフェーブ(feve/最初のeに右下がりのチョン付き)が入った一切れが誰のところに入っているか、で盛り上がる。フェーヴが入っていたら、その人が一日王さま(王女さま)になれて金の冠(紙製のものでパイとセットになって付いてくる)をかぶって得意満面!その年の幸先の良いスタートを切れるのだ。

フェーヴというのは、フランス語で”そら豆”と言う意味で、もともとはそら豆をパイに忍ばせていたというが、いつの間にか陶器製になって、収集家がたくさんいるそうだ。
わたしも別に収集家ではないけど、いくつか手元にフェーヴが集まった。

それらが上の写真のフェーヴ。
最初の写真のクロワッサン”9683(キンシャサの笑い話!)”のフェーヴは今年ゲットした。友人が池袋東武のパン屋で買ってきてくれたガレット・デ・ロワに入っていた。
右のは、確か、娘がくれたフランスからのフェーヴ。ムッシュの裏側はエッフェル塔になっている。
下の写真にいくと・・・。左の丸いのはキンシャサにもあったエリック・カイザーで買ったガレット・デ・ロワに入っていたもので陶器のペンダントヘッド。プレッツェルの絵が付いているけど、わたしに言わせると亜流・・。ちょっとがっかりしたことを覚えている。
その右3つのが本家のフェーヴ。娘からもらったフランスのフェーヴだ。

ある年の1月。キンシャサから、娘たちが住むフランスのシャンベリーに向かう途中にパリで数泊したとき。1月だったから、サン・ジェルマンの”TORAYA”でランチ弁当を食べに入ると、店のガラスケースにはガレット・デ・ロワが並んでいた。中に入っているフェーヴは日本人の陶芸家による桃の陶器のフェーヴだということで、アルプスのほうまで買って持って行ったことがある。娘の夫がフェーヴの収集家だからお土産代わりにと思ったのだった。
パイの中身は、アーモンドクリームではなくて、”あんこ”だった。
さすが、虎屋!
(ちなみに、店内の喫茶室は、日本人は皆無で、多分、地元のフランス人たちでこれにもびっくりした。普通に、和菓子とお抹茶のセットを注文して、隣の大学生風の男性たちは、お抹茶のお代わりをしていた!)

ここ数年の間に、1月に入ると日本でもガレット・デ・ロワがケーキ屋に並ぶようになった。「フェーヴ」と言っても、普通に通じるようになった。
ガレット・デ・ロワの”rois"は、王さま(roi)の複数形。
これは、光り輝く星を目印に馬小屋で生まれたばかりのイエス様を訪れた”東方の三博士”を指すのだそうだ。

フランスでもガレット・デ・ロワの中のクリームは、地方によって異なると聞くが、オーソドックスなアーモンドクリームは、わたしの大好物の”カリソン”を思い出す。カリソンはひし形をした、南仏プロヴァンス(エクサンプロヴァンスかな)の代表的な郷土菓子だ。

日本では、1月が終わってすぐ節分の豆まき。
次は、ひなまつりで桜餅。
そうしたら次は、柏餅。
わたしたちの国でも季節のお菓子が楽しめる。
パリのTORAYAでも、和菓子人気なのだろうな。

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