赤羽の禅寺にて

 


 
 この写真は、赤羽の高台にある曹洞宗のお寺、”静勝寺”の境内を写したものだ。
ちょうど1週間前、朝6時からの早朝座禅会に夫婦で参加し、終了後にいつもは通らない庭に入って、花たちのあまりの見事さに写真を撮ってきた。
住職さんが、庭の藤の花が見ごろを迎えました、と紹介してくれたのだった。

つつじも満開だった。この写真には写っていないが、右側にはすずらんが一面に小さく顔を出し、可憐な鈴のような花をつけて、手入れの行き届いた静寂な庭が広がっていた。

赤羽の高台に位置するこのお寺は、それもそのはず、江戸城を築いたことで知られる太田道灌によって築城された稲築城跡に建てられた禅寺だと聞く。
いくつもの方角からお寺に通じる道があり、確か、二つの門がある。

わたしたちは2007年に赤羽に引っ越して来て、朝の散歩でここの禅寺を知った。
長い石段を昇っての開けたルートを知らないまま、いつも住宅地の中の上り坂になっている小道を抜け、境内横の垣根の外の、森のような中を横切る石畳の細い道を通り、右側にある木の門をくぐってお寺に入っていた。だから緑深い森の中の静かな禅寺、というイメージがあり、そんな禅寺が赤羽駅のすぐ近くの高台にあることがとても不思議だった。

今も、そのイメージは変わらない。座禅を組む畳間も、お茶をいただいたあとに般若心経を唱えて住職さんの説教を聴く部屋もお線香の品の良い香りが漂い、厳かな雰囲気だ。
また床の間には仏教の暦に合わせて掛け軸が掛けかえられて、屋内も心身が清められる空間が広がる。

境内には四季折々の木々、花も楽しめる。
赤羽にこのような静寂な空間を持つ禅寺があってよかった。


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