我が家のベランダの植木鉢に野のすみれの花が咲いた♪
春の野の草花で、土筆とこのすみれを見なければ春が来た気がしない、というくらい、わたしはすみれの花が大好きだ。紫の色というのが草の緑と似合って、春の土手で目を引くからなのか・・・。
紫色のアザミの花もやっぱりわたしの好きな野の花。この花を野原で見つけると、夏の小さかった頃の思い出が湧き出てくる。
さて、この”野のすみれ”は確か、那須に友人が連れて行ってくれた時、野原に群生しているのを一株だけ根っこから採って持ち帰って、ベランダの植木に植えたものだと記憶している。
その後アフリカで暮らした時間のほうが多かったから、知らず知らずのうちに種が植木鉢の土の上に落ちてすみれが根付いたのだろう。夏に帰国すると、すみれの葉を確認することができて心が喜んでいた。
すみれの花の種は、黒くてけし粒くらい小さいけれど、土に落ちると確実に根を広げて株を増やしていたように思う。昨年の春も、ベランダの植木鉢で紫色のかれんなすみれの花がいくつも咲いていた。
いつだったか、赤羽図書館の新着の本の紹介コーナーで、「すみれ島」という絵本を見つけて、手に取って立ち読みして感動したことを覚えている。
南のある小さな島に、戦争のためにたくさんの兵隊さんたちがやってきました。
その中に故郷のすみれの花をポケットに入れてやってきたひとりの兵隊さんがいました。
兵隊さんのポケットの中で、すみれの花はしぼんで種になり、その種が兵隊さんのポケットからこぼれました。
兵隊さんたちは戦地に赴き、島には誰もいなくなりました。
南の小さな島にちょこっとだけすみれの花が咲きました。
それから毎年、毎年、すみれの花が増えていきました。
兵隊さんたちは激戦地に飛び立って行ったまま、島に帰ってくることはありませんでした。
きっと故郷にも帰ることはできなかったでしょう。
今では、暖かい季節が来るたびにすみれの花が小さな島に咲き広がり、その島は人知れず、”すみれ島”とよばれるようになりました。
・・・こんな物語でした。
わたしの記憶の中での物語になっているかもしれません。
でも、ひとりの兵隊さんが持ってきたすみれの花の種が根付いて、島全体が紫色になってすみれの花でいっぱいになったという物語だったことは確かです。
本当に存在するのかな、南の小さな、すみれ島。
そんなことを思いながら、春風に揺れる植木鉢のすみれの花をながめて過ごす午後です。
4日ぶりに太陽が顔を出してポカポカ陽気です。
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